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映画レビュー:命みじかし、恋せよ乙女

樹木希林さんが大きく写ったポスターに惹かれました。少し待っていればネットで安価で映画を観られるご時世だけど、好きな役者さん監督さんの作品にはちゃんと儲かって欲しいという小さな願いがあって映画館に足を運びました。

 

そんな小さな願いを踏みにじられたような気がしたこの作品、どう考えても詐欺だよね?最後の10~15分しか樹木希林さん出てこないんだよ?(笑)。開始1時間くらいで思ったのは、『私が見た樹木希林さんだと思ったポスターは勘違いで、主人公の母役のおばあちゃんだったのかもしれない・・・また私ったらポカやっちゃった。とりあえず帰ろうかな・・・』

 

平日の映画館なのに珍しく5割くらい席が埋まってる。みんな樹木希林さんを見に来たんだろうか。これは残念なパターンだったね、みんな(涙)

 

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命みじかし、恋せよ乙女

 

映画の内容は、主人公のドイツ人の青年が、トラウマが引き起こすホラー現象と戦いながらも、心の癒しまでを描いたものだけど、癒し手の端くれとして言わせてもらえば、肝心の「ありのままでいいんだ」ってトコが明瞭に描かれてないので、さっぱり分からない。ソコはきっちり描きたくなるものじゃないのかなー。私の読解不足なんだろうか。

 

日本人の女の子ユウは、西洋から見た東洋人って感じの演出が不自然でどうにも居心地が悪かったし、ゴーストとしてのユウは彼を助けたいのか引きずり込みたいのかスタンスも曖昧。

 

背広の下にピンクの浴衣をドイツ人男性に着せるというのも、何かを象徴させているんだろうけど、LGBTにしてはそう見えないし、女装が趣味という設定なのか?いろんな問題提起をしてみたいのかもしれないけど、すべてが薄っぺらで問題の表面をなぞっただけのような中途半端感で散漫。

 

最後の最後で登場した樹木希林さんは、痩せてしまった印象はあるものの、彼女の味が損なわれることなく、いつもどおりの演技を披露してくれてたように思います。病の床にあって、いつもどおりの演技ができるという事がどれほど難しい事だろうかと想像すると、やはり彼女のプロ根性には合掌させていただくほかない、というのが感想です。

 

撮影の技術なのか分からないけど、所々で再現フィルムみたいな画質になるのも「あれ?コレって映画だったよね?」としらける要素でもあったかな。

 

「人生は本当の自分に戻る旅」

このキャッチコピーにはすごく共感するのだけど、監督は意味がわかってないに1票(笑)。ヒューマンドラマとしてもホラーとしても中途半端だし、この作品が樹木希林さんの遺作になったとは残念としか言いようがない。

 

オススメ度1

★☆☆☆☆